2014年4月23日水曜日

子育て支援者に求められる姿勢

柏女 霊峰氏「公開セミナー実施録『自治体における子育て支援事業の推進』」より

 おきなわ子ども支援ガイドブックは、子どもを一人の大人のマンパワーで支えるのではなく、支援者が横に繋がって「面」で子どもを支えるために、将来ともに支援する仲間の居場所を教えてくれる「道案内」であって欲しい。
 当たり前だけれどガイドブック自体に子どもを支える力はない。あくまで、人を支えることができるのは人だ。出会いと気づきから生まれる関係だ。
 そして、あくまで主体は、支援される対象の子どもや家族。そのエンパワメントが目的であることを上の図は教えてくれている。
 その講師の名前が思い出せないけれど、ある講演会で、人は自ら選んだ地図によって迷う、と言っていた。当事者やその家族にとって、最善の、幸福に近づくための選択が困難になっている状況、他の選択肢に気づかずに進んでいる時に、立ち止まって一緒に考える人が必要だ。
 支える人には、経験を多く積んだベテランもいれば、初めての人もいるだろう。
ベテランの方が、いつもこんな事に気をつけている、といった経験知をガイドブックを手にした若い人にも伝えられたらと思う。子育て支援者のコンピテンシーについての資料や書籍をあさりだしたのは、そんな理由から。
 

宮古島 1980年

 


2014年4月13日日曜日

新1年生の保護者のみなさんに就学支援金制度を知っていただくために

 子ども支援ネットワーク交流学習会実行委員会では、大牟田市の資料を参考に、就学支援金制度を知ってもらうための資料と、役所での手続きをスムーズにするための資料を作成しました。
1回目の申請時期には間に合いませんでしたが、2回目の申請時期と、来年4月に新1年生になる高校生の保護者のみなさまに対して、提供できればと考えているところです。
下記の画像をクリックすると資料がダウンロードできます。

新しい制度についての資料
新しい制度について
役所で書類を請求するときに














2014年4月12日土曜日

高等学校等就学支援金給付制度、申請締め切り後の状況

 高等学校授業料無償化制度に代わって、今年4月に1年生になった高校生を対象にした授業料相当金額の給付を行う高等学校等就学支援金制度は、そのネーミングが誤解を招きやすく、さらに授業料が無償になるためには全ての生徒の保護者が申請書や市町村税課税額を証明する書類を提出しなければならないなどの手続きの煩雑さなどから、保護者と学校の混乱は続いてるようです。

 私たちが懸念していた「課税証明書が提出できない世帯」というのは、今のところないようです。
その要因として考えられるのは、那覇市や浦添市などでは今年3月の締め切りまでに確定申告を行っていない保護者に対しても、関係書類等により仮の課税証明書を発行するなどして便宜を図り、保護者の不利益にならないように対応したことです。

 しかし、学校にとっても保護者にとっても初めての手続きとあって、書類の記載に迷った保護者が多く、制度内容や記載について問い合わせが学校に殺到し、事務職員がその対応に忙殺されているそうです。電話は新1年生ばかりでなく2・3年生の保護者からも、自分たちも対象ではないかという誤解から「どうして教えてくれなかった。」などといった問い合わせがあり、その都度制度の説明を行なったそうです。

 今後のスケジュールは、条例で定められた4月15日の授業料納入締め切り日に向け、学校では授業料を負担する世帯に対し、授業料の徴収袋を配布しました。配布に当たっては、生徒への配慮から、徴収袋を直接渡さず、さらに袋に詰めて配布したところもあるそうです。
そして6~7月にかけて行われる2度目の申請時期が終わるまで、保護者の戸惑いと事務職員の多忙さは続きそうです。
糸満市 1980年


2014年4月5日土曜日

高等学校等就学支援金制度~申請書などの提出締め切り後について

 沖縄県内の多くの県立高等学校では、就学支援金のための書類の提出締め切りが4月7日の入学式となっています。このブログでも懸念している書類の未提出者がいないことを願うばかりですが、本来支援金の恩恵を受けるべき経済状況の世帯の未提出があった場合、どうすればよいのでしょうか。

1 利用可能な貸付

 今回懸念される世帯は、経済的に困窮してはいるものの、(1)生活保護を受けていない、または(2)就学援助を受けていなかった世帯と考えられます。
この世帯が、やむを得ない理由により課税証明書を提出できなかった場合、少なくとも4月から7月までの高校授業料29,700円を納付しなければなりません。
この負担に耐えることができない世帯の場合、公的な貸付の制度としては、まっさきに思いつくのは、「母子寡婦福祉資金」(※那覇市版ガイドブック30ページ)の貸付け制度です。ただし、これは母子世帯に限られますので、父子世帯等の場合は「生活福祉資金」(※那覇市版ガイドブック28ページ)が、修学資金の貸付けを無利子で行っています。今回のケースが貸付の対象となるか、また申請してから貸付を受けるまでの期間などの確認は行っていませんが、これらの貸付を利用して当面の授業料を納めることで、子どもが学業を続けられるようにしなければなりません。

2 2回目の提出に備えて
 
次に、就学支援金のための課税証明書の2回目の提出が7月にあります。
市町村では、6月2日以降、確定申告の受付を行うことができます。最後のチャンスとなりますので4月に課税証明書の発行ができなかった世帯の課税の申告について、その周知とともに必要な支援を行う必要があります。

3 親の所得格差の可視化への懸念

 さて、今回の支援金にかかる手続きでもう一つ懸念されるのが、学校現場で保護者の所得の格差が可視化されることです。世帯の収入が基準を超え、授業料を納めなければならない世帯の納付の方法について県は、現金による徴収を行うことになっています。つまり徴収袋で学費を納める生徒が出てきます。
もう一つ、この制度では収入が350万円以下、250万円以下の世帯の場合は、給付金が支給されますが、支給を希望する世帯の高校生は7月に改めて申請が必要になります。
これが、子ども同士に親の所得の格差を可視化させることにつながらないかということが懸念されます。このことが子どもたちの心にどのように影響を及ぼすのか分かりません。高校生であれば自分の家庭の経済状況はある程度把握していると思います。しかし、これを明らかに対象が分かる形で直面する場面はこれまでなかったと思います。

 これらのことが、取り越し苦労に終わることを祈るばかりですが、まだまだ、さまざまな懸念材料が噴出してきそうな制度です。
 沖縄の子どもたちや親たちの課題を顕在化させることになるかも知れないこの制度について、4月7日以降の各学校の状況を注視していきたいと思います。
 
池間島 1980年