2012年3月31日土曜日

平成24年度就学援助の申請について~那覇市

経済的理由によって就学が困難と認められる小中学生の保護者に対し、学用品や給食費などの一部を援助する就学援助の申請の案内が、那覇市の市民広報誌で紹介されています。

対象となる保護者は、生活保護を受けている方やそれに準ずる状態と認められる方です。

申請は随時受付ですが、4月から援助が必要な方の締め切りは4月27日です。
詳しくは、教育委員会の学務課 891-3505にお問い合わせください。

高等学校における特別支援教室=リソースルームの設置

平成24年度からの県立学校編成整備計画に盛り込まれた、北谷高校に発達障害等に起因する不登校の生徒の学び直しの学校「フューチャースクール」を設置するという構想は、設置する高校を中部地区のいずれかの学校とするという方向で修正され、収束に向かった感があります。

 新聞の報道でも、なぜ北谷高校なのか、なぜ一校に生徒を集めるのかなどといった関係者の疑問が取り上げられていました。すべての学校で発達障害による学習や生活上の困難を抱えている生徒の支援を行うという特別支援教育の理念からすれば、このフューチャースクール構想は、その流れに逆行するかのような印象を与えると同時に、特別支援学校を彷彿とさせるものがあります。

しかし
 県も何らかのアクションを起こさなければならない状況があるからこそ、「フューチャースクール」構想を打ち出さざるを得なかったのであり、発達障害等に起因する不登校等の状態にある生徒の支援は、まったなしの状態であることに変わりはありません。また、今後、設置校に指定された学校が、すんなり設置を受け入れるという保障もありません。高校における発達障害のある生徒への特別支援教育については、関係機関や医療に携わる人たちも巻き込んで議論をしていかなければならない課題です。

さて
 小中学校においては、発達障害等の児童生徒に対し、必要に応じて特別支援学級担当が学級担任と連携し、協力して支援を行っている例があります。
それに対し、高校では、あくまで学級担任や教科担任、あるいは、これに教育相談担当やスクールカウンセラーを含めた協力体制のもと限られた人たちのマンパワーで支援を行っているのが現状です。

 特別支援学級を高等学校に設置することは、法令上は不可能ではありません。しかし、私の知る限りでは国内で高校に特別支援学級を設置している例はありません。しかし高校に特別支援学級を設置するのは困難でも、特別支援教育を担う人を増やす方法は考えられないでしょうか。

 近年、身体障害のある生徒が入学した高校に対し、県は非常勤職員の加配を行って、その支援の充実に努めています。このような特別な配慮を必要とする生徒の支援を行うために高校に手厚い人的配置を進める上でのヒントとしてかつて「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が提起した「特別支援教室」をもとに考えてみたいとおもいます。

 「特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が平成15年3月にとりまとめた「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」(以下、「協力者会議最終報告」という。)では、小中学校における特別支援教育の体制の充実を図るために、現在の特殊学級のあり方を見直し、特別支援教室の設置について提言をしています。

 「特別支援教室」のイメージについて最終報告では、以下のように述べられています。
「・・・LD・ADHD・高機能自閉症等を含め、障害のある児童生徒が、原則として通常の学級に在籍し、教員の適切な配慮、ティーム・ティーチング、個別指導や学習内容の習熟に応じた指導などの工夫により通常の学級において教育を受けつつ、必要な時間に特別の指導を受ける教室として、例えば以下のような形態が想定される。・・・」

 特別支援学級が、児童生徒がそこに籍をおく「学級」であるのに対し、特別支援教室は、通常の学級に籍をおく児童生徒が、必要に応じて学ぶ場と時間を提供する「教室」であるという点で違いがあります。

 報告書では、大まかに3つの形態を想定しています。
①ほとんどの時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。
比較的多くの時間を通常の学級で指導を受けつつ、障害の状態に応じ、相当程度の時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態。
一部の時間のみ特別支援教室で特別の指導を受ける形態。

 最終報告はあくまで、小中学校を想定したものでした。またその設置も結果として見送られ、実現することはありませんでした。しかし、その理念は、大きな可能性を秘めていると思います。

 特別支援教室は、障害のある生徒を少人数で指導をすることによって、生徒の学習を支援する場所という機能を持たせます。また学級担任と協調して、不登校から退学への坂道を転げ落ちていく生徒にとってのセーフティーネットとしての機能も果たすことができるでしょう。

 少子化による定員の減少で空いた教室を用い、複数の専任の教室担当を置き、教科指導の時間は当面、非常勤教諭の配置または、一部の進学塾が行っているビデオを視聴しながら学習するシステムを導入した授業形態などによって、個々の生徒の学習の進度に合わせた対応を行う、などが考えられるでしょう。

 また、「特別支援教室」という名称は用いず「リソースルーム」などの名称で、発達障害に限らず学習が遅れがちな生徒の学びの場として、すべての生徒を対象とした「部屋」を前提として位置付けることで、生徒が利用しやすい雰囲気にすることも必要でしょう。
こういった「部屋」と「教師」を、学校に配置することによって、高等学校における特別支援教育の充実にいたる道が開けていくのではないでしょうか。

2012年3月25日日曜日

高校生の就労支援~軽度の知的障がい等のある生徒の就労支援~

軽度の知的障がいのある生徒を対象とした、沖縄高等特別支援学校の今年の志願倍率は1.8倍でした。ここ数年の志願倍率は1.5倍前後で推移しており、軽度の知的障がいのある生徒の教育の受け皿の拡充が求められる中、県教育庁も平成24年度から始まる特別支援学校の編成整備計画の中で、軽度の知的障がいのある生徒を受け入れる新たな分校、分教室の設置を計画に盛り込んでいます。

先日、障害者就業・生活支援センターに勤める相談支援員との会話の中で、この相談支援員が高校の進路担当者から障がいのある高校生の就労支援について相談を受けたことを知りました。

県内の高校にも療育手帳を所持している生徒が在籍している可能性があります。また発達障がいの診断を受け、対人関係やコミュニケーションで日々苦戦している生徒も在籍しています。
学習や生活上の困難がある生徒の場合、日々の学校生活のなかでの学習や対人関係に対する支援や配慮と同時に、卒業後の進路にもその生徒の教育的ニーズに応じた支援が必要となります。

さて、特別支援学校では、高等部の3学年に進学すると卒業までに年に数回、2週間程度の産業現場等における実習を体験します。これは生徒にとってキャリア形成の大切なステップであると同時に、障がいのある生徒を雇用したいと考えている企業にとっては、生徒が就職に必要な能力を有しているか判断する機会となります。

実習を経て、就職が内定した場合は、トライアル雇用や職場適応訓練などと呼ばれる助成制度の活用と、障害者就業・生活支援センターと呼ばれる相談支援の機関などを紹介し、本人の職場適応を支える環境づくりを関係機関と進めていきます。

また、就職する力がまだ備わっていないという評価を受けて、卒業後直接就職には結びつかなかった場合にも、就労移行支援事業を行う福祉施設を紹介し、就職のための態度や技能を身につけ再チャレンジする道筋を作ります。

例えば、療育手帳をもっている高校生が、就職を希望しているのにもかかわらず、卒業までに就職のめどが立たない場合、あるいは発達障がいのある高校生が行動やコミュニケーションに課題があり就職するためには、その課題と折り合いをつける手立てが必要な場合、前述の就労移行支援事業は、高校卒業後の本人の就職をサポートする有効な手立てを提供してくれるでしょう。

高校生の進学、就職に対応するスキルをもつ高校の進路担当の教諭が、障がいのある生徒の就労支援についても一定のノウハウがあれば、軽度の知的障がいや発達障がいがある生徒の就職に大いに役立つと思います。

特別支援学校の進路担当教諭は、沖縄県特別支援学校進路指導研究会、通称「沖特進研」に定期的に参加し、研修と情報交換を行っています。これに高校の進路担当もしくは特別支援教育コーディネーターが参加し、就労支援が必要な生徒に対する対応について情報交換や研修を積んではどうかと思います。そうすれば障がいのある生徒はもとより、その保護者にとって、どれくらい心強いことかは言うに及びません。

平成19年に特殊教育から特別支援教育に転換し、障がいのある子どもの教育が場に限定されず、各々の教育的ニーズに応じて提供されることへ移行したことをからしても、高校と「沖特進研」との連携を考えてもいい時期なのではないかと思います。

2012年3月10日土曜日

生命保険協会 介護福祉士養成奨学金制度

生命保険協会では、平成元年より介護福祉士を目指す学生への支援として下記のような事業を行っています。

①対象:厚生労働省指定の介護福祉士養成施設(専門学校・短期大学)に在学する学生

②募集方法:全国各地に所在する厚生労働省指定介護福祉士養成コースのある専門学校・短期大学117校に奨学生の推薦を依頼(1校2年生1名(ただし、1年課程の学校は1年制))、各学校長の推薦に基づき当協会の選考委員会で決定

③支給額:月額20,000円(給付制)

④支給期間:1年

⑤お問い合わせは:沖縄県生命保険協会(862-1771)

2012年度予算に見る沖縄県の子育て支援

県は2012年度の福祉保健部重点施策として待機児童対策や放課後児童クラブ支援事業などを盛り込んでいます。

小学校就学前までだった入院費無料化を中学校卒業までにする子ども医療助成事業を今年度10月から実施します。

また保育園の認可化移行を促進する支援策として5億4797万円を計上しています。

放課後児童クラブについては、公的施設への移行を予定している10の施設に月額5万円以内の家賃補助を行うものとして6528万円を計上しています。

2012年3月3日土曜日

離島から進学する生徒たちと保護者の負担

沖縄では、県立高校がある久米島、宮古島、石垣島を除く、離島の出身の子どもたちは、島にある中学校を卒業した後、その多くは沖縄本島にある高等学校に進学します。

県立学校教育課が2011年5月現在の状況を調査した結果、 598名の生徒が離島の中学から沖縄本島の高校に進学していることが分かりました。

このうち、アパートで独り暮らしをしている生徒は76名、兄弟とアパートで暮らす生徒も207名おり、約5割が賃貸住宅を利用しており、1ヶ月の必要経費が約81,000円に上ることが分かりました。

居住形態は、ほかに「親戚・知人の家」87人、「兄弟の家」が10人 、「寄宿舎など」が155人となっており、1ヶ月の必要経費は43,000円とアパートなどで暮らす生徒に比べ約半額の負担で済んでいます。

必要経費には携帯電話代、食費、小遣いは入っておらず、実際の必要経費はさらに膨らむことが予想されます。

県では一括交付金を利用して離島・へき地出身の高校生のための複合施設「離島児童・生徒支援センター(仮称)」の建設を計画しているそうです。

2重世帯になることで、離島出身の高校生をもつ世帯の経済的負担は大きいことは予想されました。また保護者が身近にいないことで生活のリズムが不規則になるなど、学業にも影響がでてくることが予想されます。
今回、地元紙の沖縄タイムス社の連載記事がきっかけになって、具体的な状況の一端が把握されたことで、県民の関心が集まりました。
離島出身の子どもたちへの支援への第一歩が遅まきながら始まることを期待したいです。